兵庫県朝来市にある、神子畑選鉱場跡に行って観光したので、見どころポイントを5つ選んで、まとめてみました。
神子畑選鉱場跡は、周辺の鉱山とともに日本遺産に認定されると、テレビの撮影やMVのロケ地や見学で人気になっています。
イベントの開催でライトアップがあるので、アクセス方法・駐車場などあわせて、神子畑選鉱場跡をガイドします。
※神子畑の読み方は「みこばた」です。
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神子畑選鉱場跡の歴史とは
神子畑選鉱場跡は、大正8年に建設して、操業停止後に取り壊された、選鉱場の廃跡です。
現在では、操業時の建屋が解体されて、基礎部分のみが残っている状態ですが、日本の近代化に貢献した産業遺産として、注目を集めています。
選鉱場(せんこうじょう)とは
鉱山で採掘した鉱石を選り分ける施設。神子畑選鉱場は、近くの明延鉱山で採掘して破砕された、錫(すず)などの鉱石の選鉱場として建設された。
神子畑の歴史は古く、西暦800年頃から、銀と銅を産出する鉱山として、開拓されていました。
神子畑選鉱場は、昭和に入ってから、度重なる拡張工事を経て、最盛期には東洋一と言われるまでの、選鉱施設となりました。
鉱山で栄えた、明延・神子畑・生野をめぐるルートは「鉱石の道」と呼ばれ、2017年に文化庁の日本遺産に、認定されています。
>播但貫く、銀の馬車道 鉱石の道~資源大国日本の記憶をたどる73kmの轍(文化庁)
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神子畑選鉱場跡のアクセスと駐車場
神子畑選鉱場跡は、兵庫県朝来市にある施設で、県中央部の山間地域に位置しています。
こちらが、神子畑選鉱場跡の駐車場入口です。
カーナビで住所を設定すると、播但連絡道「朝来IC」から、迷わずにたどり着けました。
住所:兵庫県朝来市佐嚢(あさご市さのう)1842番地1
施設の駐車場は、普通車26台、観光バス4台が停められるようになっています。
二輪車の駐輪スペースや、ロードバイクが掛けられる自転車スタンドも、設置してあります。
電車でアクセスする場合は、JR播但線「新井駅」が最寄りとなり、駅からタクシーで約10分です。
神子畑選鉱場跡で観光してみた
選鉱場は、山の斜面を利用して建設したもので、上から下に鉱石を選り分けるようになっていました。
神子畑選鉱場跡は、屋外施設のため、いつでも見られますが、建物を囲む柵の中や、一部のエリアが立入禁止となっています。
見どころ ① 神子畑交流館「神選(しんせん)」
駐車場のすぐそばには、神子畑地域の情報発信を行う、神子畑交流館「神選」があります。
「神選」では、選鉱場が稼働していたときの模型や、映像を見ることができて、グッズなどお土産も販売されています。
様々なパンフレットで、神子畑選鉱場跡の理解が深まるので、まずはここに、立ち寄ってみるのがおすすめです。
見どころ ② 選鉱場・インクライン
こちらが、斜面に残る選鉱場跡と、選鉱場の昇り降りを行った、インクライン(ケーブルカー)の軌道跡です。
現在残っているのは、選鉱場の基礎部分で、当時はこの上に木と鉄骨で造られた、高低差が22階建てビルと同じくらいの建屋がありました。
施設は交代制で、24時間稼働していたので、夜中も稼働している工場の姿は「不夜城」とも称されました。
こちらが、人や物資の運搬を行うための、インクラインの軌道跡です。レール・枕木・バラスト・操作室が現存しています。
インクラインとは
傾斜面にレールを敷き、動力で台車を走らせて、重い荷物を運ぶ装置。ケーブルカーと同じ原理。京都の蹴上インクラインが有名。
軌道内に立ち入ることはできませんが、インクラインが選鉱場上部まで続いているのを、見ることができます。
見どころ ③ 一円電車
一円電車は、山を隔てた明延鉱山で採掘された鉱石を、運ぶためにできた電車です。正式名称は明神電車といいます。
人が乗れる車両も運行していたので、乗客数を把握するために、運賃を一円にしていたことから、このように呼ばれていました。
神子畑選鉱場跡では、一円電車が製造された工場の跡地に、当時の車両が展示されています。
見どころ ④ ムーセ旧居
旧神子畑鉱山事務舎で、通称「ムーセ旧居」が一般公開されており、中に入ることができます。
ムーセ旧居は、1872(明治5)年に生野で建てられた洋館で、フランス人技師ムーセの邸宅でした。
神子畑鉱山の開発が始まると、1888(明治21)年に、この場所に移築されて、事務所として利用されていました。
見どころ ⑤ シックナー
神子畑選鉱場跡を象徴するような、廃墟感を感じさせる構造物が、こちらのシックナーです。
シックナーとは
液体中に混じる固体粒子を分離する装置。神子畑選鉱場では、下に溜まったスライム(不要物)を脱水して、坑道の足場などに再利用した。
シックナーの下には、当時では貴重だった機械の数々が、現在でもそのままに残っています。
古いコンクリートの柱は、宮殿の柱のように見えることから「関西のパルテノン神殿」として、テレビで取り上げられています。
また最近では、若手アーティストのミュージックビデオが撮影されて、SNSでも話題となるなど、神子畑選鉱場跡は、人気の観光スポットになっています。
ライトアップのイベント
兵庫県朝来市が、日本遺産5周年を記念して「神子畑選鉱場跡ライトアップイベント」を開催しました。
◆神子畑選鉱場跡ライトアップ 兵庫県朝来市にて12月3日に開催(@Press)2022年11月22日より
イベント日を含めたライトアップ期間は、神子畑選鉱場跡に照明が当てられ、操業当時の賑わいが演出されます。
日時:2022年12月3日(土)14時~21時
会場:神子畑選鉱場跡
※ライトアップ期間は12月3日(土)~12月9日(金)17時~21時で実施
ガイド付きで見学できる(約1時間半)
神子畑交流館「新選」では、地域の人たちがガイドとなって、神子畑選鉱場跡を中心に、案内するサービスを行っています。
ガイドを利用した施設の見学で、歴史ある神子畑の魅力を、体験してみてはいかがでしょうか。
1878(明治11)年
優良な銀鉱脈の発見で加盛山(神子畑鉱山)と呼ばれ稼働
↓
1917(大正6)年
出鉱量の低下により閉山
↓
1919(大正8)年
神子畑選鉱場が建設される
↓
1987(昭和62)年
明延鉱山の閉山にともない操業停止
↓
2004(平成16)年
基礎など一部を残して取り壊し