兵庫県姫路市にある、書写山圓教寺の見どころ・魅力について、歴史のエピソードや建物を中心に、ポイントをまとめてみました。
書写山圓教寺は、映画ラストサムライのロケ地として有名で、御朱印集めや観光に、人気のスポットになっています。
ロープウェイのアクセスとあわせて、犬を連れて観光した所要時間、楽しい回り方を紹介します。
※書写山圓教寺の読み方は「えんぎょうじ」です。書写山円教寺とも表記されますが、以下、圓教寺で統一しています。
書写山圓教寺とはどんなところ?
書写山圓教寺は、兵庫県姫路市にある、天台宗のお寺です。
姫路市北西部にある、書写山の山上一帯が境内になっており、建物・お堂が広がっています。
書写山の山上までは、ロープウェイが敷かれており、西国三十三所観音霊場の札所で、御朱印がもらえるなど、姫路で人気の観光スポットになっています。
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書写山圓教寺の歴史と名前の由来
書写山圓教寺は、966(康保3)年に、性空上人が開いたお寺です。
書写山と呼ばれる名前の由来は、それ以前は、素戔(そさ)山と称していましたが、性空上人が山を登る途中に、仙人のお告げによって、書写山と改めたといいます。
性空上人とは
平安時代中期の天台宗の僧侶。京都生まれ。36歳で出家し修行を重ね、966年、播磨国書写山に圓教寺を創建。享年98歳と伝わる。
性空上人について、明治時代の姫路ガイド『現代語訳 沿革考証 姫路名勝誌』のなかに、このような記述があります。
智慧は深く徳は高く、その名は全国に聞こえ、時の天皇も大変尊敬された。
『現代語訳 沿革考証 姫路名勝誌』p72より
書写山圓教寺は、京都から遠いにもかかわらず、皇族・貴族の信仰があつく、時の天皇や皇后も御来臨されています。
書写山圓教寺の歴史エピソード
小倉百人一首 Wikipediaより
歴史の魅力 ① 百人一首で有名な和泉式部が来た
書写山圓教寺には、性空上人と同じ時代に生きた、百人一首で有名な和泉式部が、京都から訪問しています。
和泉式部とは
平安時代中期の女流歌人。勅撰集に多数の歌が選ばれ、平安中期最高の歌人ともいわれる。作品に「和泉式部集」「和泉式部日記」など。
その時のエピソードが、明治時代の姫路ガイド『現代語訳 沿革考証 姫路名勝誌』に、記述されています。
一条天皇の皇后・上東門院は和泉式部ら六人を従えて来山なされた。上人はこれを避けてお会いにならなかったので、式部が
「暗きより 暗き道にぞ 入りぬべき 遙かに照らせ 山の端の月」
と歌を詠むとついに面会され、上東門院は喜びのあまりに ~
『現代語訳 沿革考証 姫路名勝誌』p72より
この時に和泉式部が詠んだ歌は、勅撰「拾遺和歌集」に収録されており、書写山圓教寺の境内には、歌塚塔があります。
江戸時代の浮世絵 Wikipediaより
歴史の魅力 ② 怪力で有名な弁慶さんの伝説
強い者の象徴として描かれる、弁慶さんが、一時、書写山圓教寺に身を置いたといわれており、エピソードが残っています。
武蔵坊弁慶とは
平安時代末・鎌倉時代の天台宗の僧兵。源義経に仕えた、怪力無双の荒法師として知られる、伝説の人物。強い者や豪傑の代名詞として広く用いられる。
写真にある2つの石は、護法石という名称で、別名「弁慶のお手玉石」と呼ばれています。
弁慶さんは、この大きな石で、お手玉をしたといわれています。
書写山圓教寺には、この他にも、弁慶さんのエピソードが残っていますが、だいぶ盛った感じなのが、魅力的です。
<豊臣秀吉像> Wikipediaより
歴史の魅力 ③ 戦国時代には中国攻めの拠点に
書写山は、秀吉が信長の命で、中国攻めする際に、拠点となっています。
天正六(1578)年の羽柴秀吉による播磨攻めの際に、その年の三月六日に本陣をこの山に定めてから数ヶ月間で全山は急速に衰退したが、八月二十三日に播磨攻めが一段落ついて元通りとなり、二十四日、東坂本村に五〇〇石を授かった。
『現代語訳 沿革考証 姫路名勝誌』p73より
その後、徳川幕府の時代になって、八三三石を賜ったということです。
歴史の魅力 ④ 姫路城主がお墓を建てる由緒あるお寺
池田輝政が姫路城を建てたあと、江戸時代には、池田、本多、松平、榊原、酒井の5家が、入れ替わりで姫路藩を治めました。
書写山圓教寺にはそのうち、本多家、松平家、榊原家の墓所があり、いくつもの姫路城主のお墓があります。
歴史の魅力 ⑤ ラストサムライのロケ地
書写山圓教寺は、ハリウッド映画「ラストサムライ」のロケ地になったことで有名です。
トム・クルーズや渡辺謙が出演する、ハリウッド映画が、姫路で撮影されたということで、大きな話題になりました。
書写山圓教寺では、ラストサムライの他にも、関ケ原、本能寺ホテルなどの映画撮影や、テレビ番組の収録が行われています。
書写駅乗り場の壁面には、出演者のサイン色紙が、飾ってあります。
書写山圓教寺の見どころポイント
書写山圓教寺の境内には、数多くの建物・仏像などの重要文化財があり、全体が歴史ミュージアムのようになっています。
どの施設も魅力的ですが、メインとなるのは、中央赤丸で示した「摩尼殿」と、その西に四角で示した「三つの堂」です。
見どころポイント ① 摩尼殿
摩尼殿(まにでん)は、書写山圓教寺の観音信仰の中心となるお堂です。西国三十三所観音霊場の第二十七番札所になります。
西国三十三所観音霊場とは
近畿地方を中心とした、観音信仰の霊場33カ所の総称。これらの霊場をめぐる巡礼は、日本で最も歴史のある巡礼路となる。全ての観音様を参拝すると、現世で犯したあらゆる罪業が消滅し、極楽往生できるといわれている。
西国三十三所観音巡礼は、文化庁の「日本遺産」に認定されています。
>1300年つづく日本の終活の旅〜西国三十三所観音巡礼(文化庁)
見どころポイント ② 三つの堂 (大講堂・食堂・常行堂)
大講堂・食堂・常行堂の、3つの堂は「三之堂」と称され、修行道場としての書写山圓教寺の中心です。
建物がコの字型に配置されており、中央が広場になっています。写真右の大講堂が、書写山圓教寺の本堂になります。
見どころポイント ③ 開山堂と力士の伝説
三つの堂の西には、開山堂があります。開山堂は、性空上人をまつったお堂で、等身大の木像が納められています。
軒下の四隅に、力士の彫刻がありますが、北西の隅にいた力士は、重さに耐えかねて逃げ出したという伝説があります。
見どころポイント ④ 仁王門
書写山圓教寺につづく、東坂の参道を進むと、仁王門があります。ここからが書写山圓教寺の聖域とされます。
正門となる仁王門は、両側に仁王像が立っており、あいだを通って境内に入っていきます。
仁王とは
寺門の左右にあって、外敵を払う守護神。金剛力士ともいう。口を開けた阿形(あぎょう)と、閉じた吽形(うんぎょう)が一対となる。
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書写山圓教寺を観光してみた
書写山ロープウェイは、犬と一緒に乗ることができるので、散歩に出かけてみました。
犬と一緒にロープウェイに乗るには、ケージに入れる必要があります。
山麓の乗り場「書写駅」に事務所があり、ケージを貸し出しているので、ここでケージを借りました。
関連記事 書写山ロープウェイの乗り場・料金を紹介
こちらが借りたケージです。レンタル料金は、300円でした。
ケージは、いくつかのサイズが用意されているそうです。
事務所では、ペットに合わせたケージを、貸し出してくれます。いずれも料金は同じです。
入るかな~くんくん。
こちらがケージに入れたところです。小型犬に合ったサイズを用意してくれました。
少しのしんぼうだワン!
こちらがロープウェイのゴンドラです。黄色と緑色の2台のゴンドラが、交互に行き来しています。
ゴンドラの中には「かかし」が座っていました。
ここから北に行った、奥播磨地域は「かかしの里」として、町おこしをしており、集落のいたるところで「かかし」が見られます。
かかしさんと記念写真してみた!
こちらが、ゴンドラから、下をみた風景です。
乗車中は、ガイドさんが見どころを紹介してくれます。
書写山の景色がキレイだな~
山上駅に近づいてきました。ロープウェイに乗っているのは、約4分です。
窓から外を見ていると、あっという間ですが、山上の空中散歩を楽しめます。
こちらが山上駅になります。降りたところで、犬をケージから出して、係の人に預けます。
ケージは、山上駅で預けておいて、帰る時にまた、同じケージに入れて、ロープウェイを下ります。
こちらの山上駅は、リニューアルする整備計画があり、姫路市において予算が計上されています。
【追記】リニューアル完了
>新しい展望台「ミオロッソ書写」
ここからは、遠くに臨海地域の煙突が見えるので、天気の良い日は瀬戸内海まで見渡せます。
ロープウェイの山上駅は、東坂参道の途中にあり、ここからは、山道を歩いて行きます。
ここからの境内に行く道は、とてもきれいに手入れされていました。
この先、東坂参道を進んで入山するには、志納金(中高生以下はフリー)が必要になります。
東坂の参道には、西国三十三霊場それぞれの観音菩薩像が置かれています。
ロープウェイの山上駅から中央にある摩尼殿までは、約20分の山道を歩く道のりです。
今日はエチケットウェアを付けているので安心
摩尼殿につきました。
階段の手前には、お茶屋さんがあるので、紫黒米の甘酒と、焼餅をいただきながら、少し休憩しました。
お茶屋さんでゆっくり休憩
(*^-^*)
書写山の山上は、お寺の建物などが立ち並んでおり、西の比叡山とも呼ばれたりします。
境内は四季折々の風景を楽しむことができるので、姫路の観光スポットとしても人気になっています。
書写山たのし~、次はどこかな
(^O^)/
三つの堂につきました。ここは映画の撮影などで、よく使われる場所です。
各お堂には、案内板が設置してあったので、ゆっくり読みながら、2時間くらいの所要時間で、歩いて散策しました。
由来や歴史を知ると、より一層、書写山を楽しむことができるなと思いました。
大講堂を背景に記念撮影してみた!また来たいな~
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書写山圓教寺を世界遺産と比較
書写山圓教寺を、有名な世界遺産の年代と、比較してみました。
姫路城<Wikipediaより
■姫路城(日本)
池田輝政が姫路城を建てたのが、1600年からなので、書写山圓教寺の歴史は、姫路城の2.5倍以上も、長いということになります。
法隆寺<Wikipediaより
■法隆寺(日本)
聖徳太子ゆかりの法隆寺は、創建が607年で、世界最古の木造建築物になります。書写山圓教寺が創建された350年ほど前にできています。
モンサンミッシェル<Wikipediaより
■モンサンミッシェル(フランス)
モンサンミッシェルの起源は7世紀で、966年、湾の小島に修道院ができました。年代的には書写山圓教寺と重なります。
サクラダファミリア<Wikipediaより
■サクラダファミリア(スペイン)
1882年に着工した、建築家ガウディが手掛けた教会です。いまだに未完成で、完成は100年後ともいわれています。
アンコールワット<Wikipediaより
■アンコールワット(カンボジア)
12世紀前半に創建されたヒンズー教の寺院です。16世紀後半に仏教寺院に改修されています。
タージマハール<Wikipediaより
■タージマハール(インド)
ムガール帝国の皇帝が、愛妃のために建設した、総大理石の墓廟です。1632年着工、1653年竣工とされるので、姫路城と同じぐらいの年代です。
マチュピチュ<Wikipediaより
■マチュピチュ(ペルー)
南米ペルーの標高2430mにある、15世紀までつづいた、インカ帝国の遺跡です。書写山の標高は371mです。
書写山観光におすすめの回り方
書写山圓教寺には、平安時代から千年以上も続く、歴史の魅力があり、境内には建物・仏像など、見どころがたくさんあります。
施設はそれぞれ、案内板で説明してあるので、少し立ち止まって、歴史の意味合いを発見しながら、散策してみるのがおすすめです。
境内には一服できる、お茶屋さんもあります。
天気の良い日は、書写山圓教寺の観光に、出かけてみてはいかがでしょうか。
※参考文献『現代語訳 沿革考証 姫路名勝誌』
わーい!今日は、書写山で散歩だー!